内的キャリアを知る

キャリアウェルビーイングを手にするうえで欠かせないのが、自身の内的キャリアを理解することだと、前の投稿で説明しました。

ここでは、内的キャリアとは何か、また、なぜ重要なのかについてお伝えします。

外的キャリアと内的キャリア

キャリアを考えるときは「外的キャリア」と「内的キャリア」に区別して考えることがとても重要です。

外的、内的の区分はキャリアの種類の違いではなく、どうキャリアをとらえるか?の視点の違いとなります。

外的キャリア

『外的な視座・視点(社会)から見たキャリア』

内的キャリア

『内的な視座・視点(個人)から見たキャリア』

視座、視点の違いとは、『社会』からみるか、『個人』からみるかの違いです。

よって、外的キャリアは、社会からの『役割』や『役割期待』となり、つまりは、「職業名(会社・弁護士・医者)」「職種(営業・経理・生産管理)」「肩書」「役職」「会社名」などが当てはまります。お気づきのとおり、職業にかかわるものがほとんどです。

なぜ外的キャリアの視点が重要なのでしょうか?ひとことで言うと、個人同士が社会で生きていく中で便利だからです。「お医者さんだったら」とか「あの有名な〇〇社の役員さんだったら、きっとお金持ち」とか、社会が外的キャリアが通じて規定する記号=ステータスが、その個人に対するイメージを与えます。いちいち訊かなくて済むということですね。

一方で、内的キャリアとは、個人の内面に視点をおいて捉えます。気質や素質(不変・Givenのもの)、価値観、興味関心の領域(変わりずらい)などで、あくまでその個人本人がどのように自分を捉えるかという問題です。

別の角度から眺めると、外的キャリアは外=社会から見える『見えやすい』のに、内的キャリアは外=社会からは『見えづらい』し、本人からでも『見えづらい』。

そう、内的キャリアはとても捉えずらいのです。

たとえば、マズローの欲求段階説のように理論で整理できるものもあるけれど、『生き甲斐』みたいなものは、人まちまちで整理が難しいということになるわけです。

『衣装』と『体形』のようなもの

外的キャリアと内的キャリアの関係の説明について、わたしが学んだ先生のたとえが忘れられません。先生曰く、外的キャリアが『衣装』で内的キャリアが『体形』であると仰っていました。

”衣装はその人の体形や好み、普段の身動きに合わせて作るととても心地の良いものが出来上がります。” ただし、”自分の希望(内的キャリア)を意識することなく、流行に乗せられて衣装(外的キャリア)を決めると、体に合わないものを買うことになりかねませんし、すぐに飽きてしまうかも知れません。(周りの人が金融というので金融機関に就職したけれど、どうしてもなじめないので、3年目で辞めてしまう)。” ”また、どうしても大胆なデザインのカクテルドレスが着たければ(どうしても医者になりたければ)、ダイエットするなどして体に合わせるしかありません。”

JCC小野田博之先生 Career Development Workshop 資料

 

とてもいい得て妙だと思うのです。衣装には流行がある、それも同じで、人気の職種も流行ったり廃ったりする。

Aラインシルエットが流行っているからって、ふくよかな体形も気にしないで、窮屈な思いでまとい続けることになってしまいます。

内的キャリアを知る大切さ

体形にあった衣装を身にまとって心地よく充実した人生を送るには、外面に映る自分(外的キャリア)だけでなく、内面を映す自分(内的キャリア)をよく理解することがとても重要です。

なぜなら、内的キャリアにこそ、『仕事の質(Quality of working life)』や『人生の質(Quality of life)』を高め、本人のウェルビーイングを高める要因が詰まっているからです。

学生や就活生、転職を志している人とコミュニケーションしてよく感じることは、『仕事の種類』や『仕事の分野』(=外的キャリア)はよく研究しているけれど、それで終わってしまっている人が多いということです。

もちろん、エントリーシートや面接のために、自分が何をしてきたのか、具体的な行動は整理しているけれども、『なんでそういう行動をとるのか?』と自分自身に耳を澄ませるところまでは至っていない残念なケースによく遭遇します。

対・外的キャリアに比べて、内的キャリアへのアプローチがどうしても少なくなってしまう。

誤解していただきたくないのは、『大切なのは内的キャリアだけで、外的キャリアはどうでもいいということでない』ということ。

われわれが社会に生きる以上、外的キャリアもとても大切です。でも、内的キャリアあっての外的キャリアであり、相互の関係を無視するとよくないということ。

外的キャリア(職業理解)と内的キャリア(自己理解)を行ったり来たりしながら、キャリアを歩んでいくこと、いわば、自分に合った衣装・着てみたい衣装・着替えたいのか、などをしることが大切だということになります。

 

 

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